2017/05/17
「コンクリート強度が公的基準に達していないため、耐震補強したと判断できない」
大阪府泉大津市立上條小学校3号館で、2010年に実施した耐震補強の妥当性が府に認められず、閉鎖を余儀なくされる事態が起こっています。
2013年11月施工の改正耐震改修促進法で義務付けられた耐震診断結果の報告で問題が表面化され、2016年10月に校舎を閉鎖しました。
閉鎖後設置された「上條小学校3号館耐震補強設計に係る第三者委員会」の報告書によると、補強前のコンクリート強度は1階部分で11.07N/m㎡、2階部分は6.22m㎡であり、いずれも国土交通省が耐震診断の技術上の指針と位置付ける、日本建築防災協会の基準の適用条件「13.5N/m㎡以上」を下回っていました。
2009年8月に耐震診断と耐震補強設計について設計事務所と契約を結び、現場調査でコンクリート強度が低いことが判明。耐震補強設計は困難と判断しました。
しかし、市教委は建て替えに方向転換すると計画年度内に耐震化が完了できず、耐震性能の低い建物の存続期間が長引くため耐震補強の方向で検討せざる終えないと判断し、コンクリート強度が基準を下回っていることを前提とした業務として記された覚書を交わした上で建設会社と契約を結び、2011年に工事が完了。
第三者委員会はコンクリート強度が低いことを認識しながら、市教委が耐震補強を実施した理由を以下のように結論付けて報告しました。
①市教委は10年度に耐震補強工事を完了する予算を組んでおり、予算消化と早期耐震化を優先して耐震補強以外の手法を検討しなかった。
②文科省の補助金を必要としないため、第三者機関の評価書を得ず、耐震補強をすることに疑問を持たなかった。
再発防止として、業務の方針転換を図る際は、有識者などの第三者から意見を聞いたり国や府に相談したりすることを求め、また、公的基準を満たさない判断をする場合などは特に、議論・検討の過程を記録に残すことが最も重要だと指摘しました。
改正耐震改修促進法の施工前に改修されているため、耐震診断の報告義務が生じなければ表面化しなかったでしょう。
市教委は現在、3号館の代替施設として、特別教室棟の建設を計画しており、2017年8月末の竣工を目指しています。
1,2,3号館を通した全館建て替えについても協議中だそうです。
耐震補強の妥当性認められず校舎閉鎖
「コンクリート強度が公的基準に達していないため、耐震補強したと判断できない」
大阪府泉大津市立上條小学校3号館で、2010年に実施した耐震補強の妥当性が府に認められず、閉鎖を余儀なくされる事態が起こっています。
2013年11月施工の改正耐震改修促進法で義務付けられた耐震診断結果の報告で問題が表面化され、2016年10月に校舎を閉鎖しました。
閉鎖後設置された「上條小学校3号館耐震補強設計に係る第三者委員会」の報告書によると、補強前のコンクリート強度は1階部分で11.07N/m㎡、2階部分は6.22m㎡であり、いずれも国土交通省が耐震診断の技術上の指針と位置付ける、日本建築防災協会の基準の適用条件「13.5N/m㎡以上」を下回っていました。
2009年8月に耐震診断と耐震補強設計について設計事務所と契約を結び、現場調査でコンクリート強度が低いことが判明。耐震補強設計は困難と判断しました。
しかし、市教委は建て替えに方向転換すると計画年度内に耐震化が完了できず、耐震性能の低い建物の存続期間が長引くため耐震補強の方向で検討せざる終えないと判断し、コンクリート強度が基準を下回っていることを前提とした業務として記された覚書を交わした上で建設会社と契約を結び、2011年に工事が完了。
第三者委員会はコンクリート強度が低いことを認識しながら、市教委が耐震補強を実施した理由を以下のように結論付けて報告しました。
①市教委は10年度に耐震補強工事を完了する予算を組んでおり、予算消化と早期耐震化を優先して耐震補強以外の手法を検討しなかった。
②文科省の補助金を必要としないため、第三者機関の評価書を得ず、耐震補強をすることに疑問を持たなかった。
再発防止として、業務の方針転換を図る際は、有識者などの第三者から意見を聞いたり国や府に相談したりすることを求め、また、公的基準を満たさない判断をする場合などは特に、議論・検討の過程を記録に残すことが最も重要だと指摘しました。
改正耐震改修促進法の施工前に改修されているため、耐震診断の報告義務が生じなければ表面化しなかったでしょう。
市教委は現在、3号館の代替施設として、特別教室棟の建設を計画しており、2017年8月末の竣工を目指しています。
1,2,3号館を通した全館建て替えについても協議中だそうです。