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建築情報
2018/06/26

建設現場の働き方改革

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2018年に入ってから「働き方改革」に対する政府の動きがにわかに勢いを増しています。

3月に「働き方改革実行計画」が閣議決定し、時間外労働に原則月45時間・年360時間の上限規制が設けられました。特例として単月100時間・年720時間が認可されることもありますが、これらに違反した場合は罰則を受けます。
これまで上記の上限規制の適用除外業種だった建設業も、関係法令施行から5年の猶予を経たのち、いよいよ規制が適用されることとなりました。



建設現場の現状



建設業界は2011年以降、異例の“繁忙状況”が続いています。相次ぐ天災による復興工事、オリンピックによる建設ラッシュ、消費税増税前の駆け込み購入などが好況の
要因としてあげられ、事実、大手建設会社4社の18年3月時点での営業利益率は直近6年で最も高い水準となっています。

ただ、その好況を支える建設現場に目を向けると、その多くは長時間労働によって成り立っており、土日すべてを休めないのが現状です。




上図から分かるように、今、建設現場では仕事が急増しているものの就業者は伸びず、その多くが高齢化の波にのまれようとしているのです。



建設業の「働き方改革」と「工期とコスト」の行末



前述したとおり、いよいよ建設業にも「働き方改革」が導入され、時間外労働の規制が設けられます。
では現在、週休2日制もままならない建設現場が、労働時間削減によって受ける影響を工期とコストの面で見ていきましょう。

条件:現状工期1年・建設費約10億円のマンションの建設現場
前提:4週4閉所する建設現場が、4週8閉所に。現場の生産性は変化しない

上記のモデルで計算すると、下図のようになります。




このように、工期が伸びた場合、もしくは工期を維持した場合でもコストの上昇が見込まれています。
では働き改革が始まる前に建築業界はどのような対策をすべきなのでしょうか。



生産性の向上



前述のモデルはあくまでも現状の労働条件で行った場合の数字です。
実際には働き方改革に向けて、建設会社各社で新たな取り組みが進められることが予想されています。

たとえば、技術労働者の給料を月給制に移行すること、プレキャスト化(※1)などの工業化工法、省力化工法などあげられます。
これらの手法は技能労働者を確保するのと同時に、建設現場の生産性を上げていくのでコスト増を抑える近道となります。

働き方改革による工期の延長やコスト増をどこまで発注者が受け入れてくれるか、不安視する声が上がっているのも確かですが、
そうした中で現場の生産性を高める方策をいかに早く採り入れられるかが建築会社各社にとって勝負の分かれ道となるのです。





※1…現場以外の場所で構成材を製作し、現場で組み立てる方法
建築雑誌よりご紹介