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建築情報
2018/07/19

200年持続するテナントビル

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2018年現在、現存する世界最古の鉄筋コンクリート造の建物は、フランスはパリ18区のモンマルトルにあるサン=ジャン教会です。
1904年に完成したRC造のこの教会は今年でなんと築114年を迎えます。

今回、そんなパリの教会にも負けない「200年永らえる高耐久性」を目指したテナントビルが大阪市に建ちます。
テナントビルNAGAYA200の建て主からの希望は「200年持続するテナントビル」を計画してほしいというシンプルなものでした。

200年残る、ではなく、持続する。
設計者・芦澤竜一は200年保つ耐久性だけでなく、時代に即した構造に変更できるよう内部構成にも長期の運用に配慮しました。

キーワードは耐久性コンクリートと可変性。
NAGAYA200がどのような建物なのかご紹介します。

 

 

耐久性を考えた建物体躯

 

NAGAYA200では鉄筋コンクリート建物の施工に関する標準モデルを示したJASS5を参考に、200年耐久する建物の値を算出しました。

まず、コンクリートの強度を決める耐久基準設計強度(Fc値)は標準的な建築物の1.5倍、200年という超長期を想定した計画供用期間の強度条件を満たす36N/?を採用。
鉄骨を覆うコンクリートの厚さを表すかぶり厚では、通常よりも10㎜大きくし、屋内30㎜・屋外40㎜を取り、
壁の厚さも一般的に120~250㎜であるがNAGAYA200では長手方向で350㎜、短手方向で300㎜と通常より大きくしました。

またNAGAYA200は、活断層である上町断層近くに建っています。
200年持続させることを目標としているため将来の地震にも備えなければなりません。

そこで壁厚を大きくとることで、建築基準法が定める耐震基準より1.5倍の安全性を持つ耐震性能を確保したのです。

 

 

 

時代に合った使い方

 

200年使い続けることを想定すると、建物の使用法も大きく変化していくという前提をもとに、
NAGAYA200の内部構造は体躯とは対照的に長寿命を想定していない作りになっています。

間仕切り壁と床の撤去、移設を可能にしたことで空間に可変性が生まれました。
時代の変化に伴い、レイアウトを多種多様に変更することができるのです。

 

 

200年持続するテナントビル。
時代に合った活用法で再生を繰り返す活用方法に注目です。


建築雑誌より紹介いたします。